2012/06/21

このチラシのデザインはあんまりではないか? - 120616-1028 アラブ・エクスプレス展 於 森美術館

先ずこちらをご覧いただきたい。

120616-1028 アラブ・エクスプレス展 於 森美術館

ご覧になった方はどのような印象を持たれただろうか? 僕は今年で51歳になる。小学生の頃から近視と付き合い、ここ10年ぐらいには加えて加齢による老眼も進んでいる。このような印刷物はそういった(ある年齢層には)珍しくない観衆を意図的か無自覚はわからないが考慮していない。

私的な事だが大学時代から交流がある友人の一人に軽度の色覚障害を持っているものがいる。車の免許も取れるぐらいなので、生活にはあまり支障はないのかもしれない。傍で見ていると「着ているものがなんだか派手だなぁ」ぐらいにしか思っていない(それは単なる嗜好かかもしれないし)。ただ、本人からその話題について聞いた時に「緑と赤が区別がつかないんだ」と言われたことは記憶に残っている。

社会人になり、ソフトウェアの開発に関係する企業に勤めた際にアクセシビリティということをソフトウェア開発の設計段階で重視する必要性についてより学ぶ機会に恵まれた。世の中には様々な障害を持って暮らしている方が大勢いる。そういった方々にも障害を持たない人と変わらない暮らしができるように世の中を作って行こう、といういわば環境デザインの大きな流れの中で、コンピューターの分野では視覚や聴覚あるいは運動機能に障害がある人でも少しでも使いやすいソフトウェアやハードウェアを作ろう、というのはごく当然のフィランソロピーの一環であり、より積極的に今後推し進められるべき分野のはずだ。

美術館はどこまでそういった問題に自覚的なのだろうか? 法令によって定められたアクセシビリティに準拠するために車椅子が問題なく入館し移動できるような配慮はおそらく徹底されているだろう。しかし、展示のキャプション、カタログ、そしてチラシにそのような観点でレビューを行っているところはどれだけあるのだろうか? 不勉強で全く調べてもいないのにどなたかご存知の方がいらしたらご教示頂けると幸いである。

難しいことではないのだ。美術館の観衆にどういう人が来るのか/来れないのか、それはなぜか、その推測は正しいのか、どのように改善すればいいのか、その改善は効果があったのか、ごくごく基本的な(わざわざ頭に「アート」という冠を付ける必要はない)マネージメントの手法を適用するだけなのだ。そしてそれを継続すること、それだけで美術館の入場者数は確実に増えるだろう。(というか森美術館は一人(=僕)減らしたことは間違いない)

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