2012/06/28

ドクメンタ13:インデックス

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12.06.27 CAMPゼミ:分からないことを知るための実験「言葉の面白さ」

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女子美芸術表象学科で井上文雄さんが行っているCAMPゼミに再び押しかけた。

諸般の事情で30分以上遅れてしまった。まずその失礼を井上さん、斉藤さん佐久間さんに深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした。

前回の「宗教」に関しては自分自身が不慣れな環境で緊張していたこともあって、過剰に発言してしまい大変KYだったことを反省し、今回はなるべく口にチャックでゼミを受講されている方々から“透明”に参加させて頂こうと思っていたのだが、この大遅刻でそれどころではなくいっぱいいっぱいになっていた。

言葉の面白さとはまさにあらゆる学問や文化芸能を通底する、いわば人間が人間である所以ともいえる核に迫るテーマである。個人的にもはぐれソシューリアンの辺境にいるつもりの自分にとってそれがどのように実験されるのか非常に関心があった(だったら遅刻するな)。しかしながらこのテーマを個人が「知っている言葉」と「知らない言葉」という観点で方言を取り上げてみる、そしてそれを構文化してシャッフルするという発想は新鮮だった。

言語の問題あるいは記号論に踏み込んでいくと「意味」の持つ「価値論」が侵食してきてしまい、テーマが過剰に抽象化されるか政治的言語に重心を置きがちになるのだが、そのような「価値」を無理に掬い上げるのではなく「知っているのか」「どういうときに使うのか」「それをわかるように他人に伝えるにはどうするか」というプラクティカルな問題に専心されたことで実験に先入観なく参加させて頂けたと思っている。

最後になりますが、斯様にゼミの空間に対して異邦人、というか蛮族のような存在の私を温かくも寛容に受け入れてくださるゼミの皆さんと井上さん、そして杉田先生に篤くお礼申し上げます。ありがとうございました。

資料:

2012/06/27

CAMP: Shiojiri Conversations

Russian children at a formerly Finnish-run tra...
Russian children at a formerly Finnish-run transfer camp in Petrozavodsk; photo taken by photographer Galina Sanko on 29 June 1944, one day after the Finns had left the area. The sign reads, in Finnish and Russian: "Transfer camp. Entry to the camp and conversations through the fence are forbidden under the penalty of death." (Russian) Семейный Ковчег: "Военное детство нынче не в цене", April 2004 (Photo credit: Wikipedia)
CAMP: Shiojiri Conversations:

////////// Shiojiri Conversations: 30時間トークマラソン「生きるとは? アートとは?」 //////////


2011年8月6日(土)と7日(日)に、 えんぱーく で開催されるイベント「 shiojiring 」で 「Shiojiri...


興味は大変あるけど体力に自信がない...
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2012/06/21

天才はあやまらなければいけないのか? - 「会田誠:平成勧進プロジェクト」参加のご案内

森美術館で2012年11月17日から2013年3月31日まで「会田誠展:天才でごめんなさい」が開催される。その展示に向けて個人向け小口ファンド・レイジングの勧誘を目的とした以下のドキュメントがアート・カレッジのセミナーの際に配布された。

これである。

ささやかな疑問がいくつか浮かんだ。

  1. 「天才」は謝らなければいけない存在なのか? 誰に対して? なんの咎で? 許しを請われた側はどのように天才を許すことができるのか
  2. 「参加のご案内」とは何か? 「“~プロジェクト”のご案内」という題の文書で募金を募る(= 参加を依頼する)のは、わかる。「“~プロジェクト”参加のご案内」と題された文書を読んでみんなはどのように感じるのだろうか?
  3. 「注意事項」に以下のような記載がある。これはプロジェクト参加費を集めるのにマイナスに作用すると思うし、そもそもいささか礼を欠くというか無責任なのではないだろうか?

いただいたプロジェクト参加費は、「会田誠展」開催の目的で、展覧会企画および制作作品制作などの費用に充当させていただきます。使途明細は公開いたしませんのでご了承ください。

なんだか、細かいいちゃもんつけてる偏屈爺になった気分だ。でも公に向けて行っている活動はあらゆる方面からの自発的な発言の対象になることは自明だし、疑問を自分の腹に溜めておいても解決も納得もしないので、ここに記しておく。私に過誤があるのであればそれが正されることは望ましいことである。

このチラシのデザインはあんまりではないか? - 120616-1028 アラブ・エクスプレス展 於 森美術館

先ずこちらをご覧いただきたい。

120616-1028 アラブ・エクスプレス展 於 森美術館

ご覧になった方はどのような印象を持たれただろうか? 僕は今年で51歳になる。小学生の頃から近視と付き合い、ここ10年ぐらいには加えて加齢による老眼も進んでいる。このような印刷物はそういった(ある年齢層には)珍しくない観衆を意図的か無自覚はわからないが考慮していない。

私的な事だが大学時代から交流がある友人の一人に軽度の色覚障害を持っているものがいる。車の免許も取れるぐらいなので、生活にはあまり支障はないのかもしれない。傍で見ていると「着ているものがなんだか派手だなぁ」ぐらいにしか思っていない(それは単なる嗜好かかもしれないし)。ただ、本人からその話題について聞いた時に「緑と赤が区別がつかないんだ」と言われたことは記憶に残っている。

社会人になり、ソフトウェアの開発に関係する企業に勤めた際にアクセシビリティということをソフトウェア開発の設計段階で重視する必要性についてより学ぶ機会に恵まれた。世の中には様々な障害を持って暮らしている方が大勢いる。そういった方々にも障害を持たない人と変わらない暮らしができるように世の中を作って行こう、といういわば環境デザインの大きな流れの中で、コンピューターの分野では視覚や聴覚あるいは運動機能に障害がある人でも少しでも使いやすいソフトウェアやハードウェアを作ろう、というのはごく当然のフィランソロピーの一環であり、より積極的に今後推し進められるべき分野のはずだ。

美術館はどこまでそういった問題に自覚的なのだろうか? 法令によって定められたアクセシビリティに準拠するために車椅子が問題なく入館し移動できるような配慮はおそらく徹底されているだろう。しかし、展示のキャプション、カタログ、そしてチラシにそのような観点でレビューを行っているところはどれだけあるのだろうか? 不勉強で全く調べてもいないのにどなたかご存知の方がいらしたらご教示頂けると幸いである。

難しいことではないのだ。美術館の観衆にどういう人が来るのか/来れないのか、それはなぜか、その推測は正しいのか、どのように改善すればいいのか、その改善は効果があったのか、ごくごく基本的な(わざわざ頭に「アート」という冠を付ける必要はない)マネージメントの手法を適用するだけなのだ。そしてそれを継続すること、それだけで美術館の入場者数は確実に増えるだろう。(というか森美術館は一人(=僕)減らしたことは間違いない)

2012/06/18

12.06.18 「池上彰が紐解く、アラブの今と未来」

NHK「週刊こどもニュース」のお父さん役で馴染み深い池上彰さんが六本木ヒルズが運営する文化事業の一つである「六本木アートカレッジ」で"アラブの春"以降、民主化運動と独裁、西欧的民主化とアラブ世界的民主化、さらに資源問題などが複雑に絡みなかなかストンと理解できないアラブについてわかりやすく解説してくれるいい講演だった。

無知だと言われればそれまでだが、イラン人は自分たちはアーリア人の末裔と考えていて他の中東諸国のアラブ人とは人種が異なる、という観点一つでも部族的社会とそれを支える文化の通時的発展に及ぼす影響はさぞかしと思う。

今回の講演は情報量が多く(分かりやすかったが)、メモ書きに精一杯だったので、いつも以上に殴り書きであることをお断りしておく。

ノート http://db.tt/Ikk8XmSi

Lady GaGa talks about Marina Abramović

 

2012/06/10

12.06.10 古本漁り

ちょっと用事が重なったので実家に寄ってきた。
ずっと探している本があり帰るたびに本棚を穿り返すのだがまだ見つからない。
その代わりに昔読んだ本を少しずつ持って帰ってきている。今回は美術系雑誌を何冊か持って帰ってきたのでさらっと紹介する。

美術手帖 Mar. 1987 「世紀末を射る2つのB」

美術手帖 Mar 1987 001美術手帖 Mar 1987 003美術手帖 Mar 1987 004バーン・ジョーズとベックリーンの二人がなんで特集されているのか。というかなぜこの特集号を持っているのだろう? 自分で買ったのではないかもしれない。ラファエル前派はどちらかというと苦手だし、ベックリーンなんて知らないし、と思って帰ってきて中をパラパラ見て驚いた。
よくネットで「怖い絵」として取り上げられることがある『死の島』という作品がベックリーンのものだったのだ。しかも何作も見ていると彼の作品の中で特にこれが際立って怖気立つような作品でないこともわかった。予備知識が全く無い状態で初めてこの絵を見た時は夜うなされるんじゃないかと思うぐらい怖かったのだが。
美術手帖 Mar 1987 006
これがベックリーンの『死の島』である。日本だと「三途の川」を渡るのだが、西洋では黄泉の国は島にあり、海(湖?)を渡るのだろうか。ひたすら静謐で陽も差さぬような澱んだ空と水の中に浮かぶ島はごつごつとした岩肌の崖の隙間に奇妙に均整が取れた近代的にすら思える神殿のような建築物がその内部に刻まれていることが判る。島の中央に細長く伸びた木々によってできあがった黒い森がある。
まさに島に辿りつこうとしている手漕ぎの船に乗った白装束の人の背丈から考えると、岩の神殿もそれに挟まれた黒い森も尋常ならぬ大きさである。あー怖い。村上春樹の『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』という初期の著作があるがあの「壁」に囲まれた奇妙な村とイメージが重なる。何かが営まれているようでもあるが、それは決してどこへも行かず何も生まずただ常に今日は昨日の繰り返しであり、それは明日が今日になる事と同じぐらい約束された揺るぎのない = 運動がない世界。
この号にドイツ文学者の池内紀がベックリーンに関する小文を寄せている。それによるとベックリーンは自分の作品にタイトルやキャプションなどを一切付けなかったという。したがってこの作品に『死の島』というタイトルを付けたのも作者本人ではない。これはいったい彼にとってなんだったのだろうか。理想なのか絶望なのか。あー、怖い怖い。
さらにトリヴィアを。ヒトラーが最も好んだ画家が誰あろうこのベックリーンであり、ベックリーンの作品のみを展示する美術館を建てる構想まであったそうだ。うーむ。

2012/06/03

12.06.02 【『Ra+』出版記念パーティ 】

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12.06.02 【『Ra+』出版記念パーティ 】120602 【『Ra+』出版記念パーティ 】
 

CAMPが発行した現代芸術の批評ジャーナル『Ra+』の出版記念パーティにお誘いいただいたので、せっかくの機会だからと緊張しながら赴いた。

AITでMADを受講している方々も読んでみたいという声を何度か耳にしたので、希望者を取りまとめてみたところ20名以上集まった。美術評論/批評を纏まった形で読めるメディアが見つけにくくなっているということだろうか。希求されている層は意外に多いようにも思うが従来の出版業界ではなかなか持続可能な形態を取りにくいだろうことも容易に想像できる。

さて、今回なんと言っても驚いたのは、執筆、寄稿者を中心にclosedなパーティなんだけど君もきてもいいよ、というなんとも蠱惑的な招待メールに釣られてのこのこと出かけてみたところ全くその実態は大きく異なるものだった。

進行は次のようなスケジュールに則りかなり正確に進められた。

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19:00~20:00 フリータイム(読んでない人はさくっと目を通してもらうなど)
20:00~22:00 グループ毎に分かれて話をする。大体20~30分に時間をくぎって、メンバー替えを行う。
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そして、当日主催者が目論んでいたのはこんなことだったのである。

おーい!

話が違う。 パーティとミーティングはスカートとキュロットぐらい違う。あるいはミシンと蝙蝠傘ぐらい違う。『北京の秋』ぐらいパーティでもソーシャルでもない。

さすがCAMP、と脱帽せざるを得ない。約3時間の濃密な経験と芸術生産に関する、あるいは全く関しない議論を約3セットなんとか消化して、蜻蛉のように半分透明になったような気分のまま帰宅に着いた。そんな時にchill-outできる、でもあまり回り道でもないところってないかな?

 

Ra+ 表紙 (表)

 

Ra+ 表紙 (裏)